YES
『Relayer』 1974

幾度のメンバーチェンジを繰り返しながら現在も活動中のイエスは
1968年にロンドンで結成されました。
ひじょうに特徴のあるジョン・アンダーソンのクリアなヴォーカルとベースという
楽器が受け持つ範疇を大きく越えた自在なフレーズワークを聴かせる
クリス・スクワイア。イエスというバンドはこの2人を中心に
テクニックのあるミュージシャンたちが30年以上に渡って出たり入ったり
している訳ですが、ジョンかクリスのどちらかが居れば誰が
演奏しようとイエスらしいサウンドになるのが面白いところです。

イエスの数あるアルバムの中でわたしが最も好きな一枚はこの
「リレイヤー」というアルバムです。
「戦争と平和」というテーマを題材にしたと云う、オープニングナンバー「錯乱の扉」。
21分にもおよぶ複雑な曲構成はこの時代のイエスの特徴だけれど
息つく暇もないほど次々と現れては消える印象深いフレーズの嵐には
時間の長さが全く気にならないし、曲の中程からは幻暈さえ覚える
スリリングな展開となります。後半部分の名曲「スーン」はジョン・アンダーソンの
美しいヴォーカルが実に素晴らしい。イエスはルックス的にはいまいち
だけれど女の子にもファンが多かったのはファンタジー的な世界観とジョンの
夢見がちなヴォーカルに寄るところが大きかったと思います。

2曲目の「サウンドチェイサー」はイエス史上もっとも喧騒と狂乱に
満ちあふれた曲で、キーボードのリック・ウェイクマンに代わり本作から
加入したスイス人のパトリック・モラーツがジャズ的できらびやかな
演奏を聴かせ、それに負けじとばかりに各メンバーの壮絶なインタープレイが
繰り広げられるスゴイ曲。スパイ映画に出てきそうな高速なリフ。
止まることを知らないスティーブ・ハウのギターが所狭しと駆けめぐり、
リズムを無視したかのようなフリーな演奏を聴かせるモラーツのソロもすごい。

「リレイヤー」のラストを飾る3曲目の「トゥ・ビー・オーヴァー」
聴いていてパニックを起こしてしまいそうな二つの曲の後は、淡々として静かな
イエス風バラードです。イエスは元来、フォーク的なコーラスが
上手いバンドでもあるんだけど、この曲では彼らのコーラスがとてもいい。
スティーブ・ハウのギターも幻惑的です。