PETER SINFIELD
『Stillusion』 1973
ピート・シンフィールドと云えばキング・クリムゾンのオリジナルメンバーであり
72年「アイランズ」で脱退するまで幻想的で美しい詩をバンドへ提供し続けました。
ピートの数少ない写真を見るとその瞳はどれも夢見心地。
壊れてしまいそうな繊細な笑顔はいかにも文学青年という感じ。
ピートは決して表舞台には出てこないけれど、初期キング・クリムゾンの持つ
耽美さと叙情性を併せ持った雰囲気は彼の詩作によるところが大です。
このアルバムはクリムゾンの実質的なリーダー、ロバート・フリップから
「君とはもう一緒に仕事ができない」と電話で通告されバンドを
去った翌年に発表したピート・シンフィールド唯一のソロ・アルバム。
キング・クリムゾンから錯乱した狂気のような激しい部分を取りのぞき
ピートが追い求めてきた叙情性豊かな世界観を味わえます。
参加したメンバーはグレッグ・レイク、ボズ・バレル、ジョン・ウェットン
イアン・ウォレス、メル・コリンズとクリムゾン・ファミリーが集結。
クリムゾンの屋台骨を支えてきたメンツだけに演奏レベルは
非常に高いのですが、主役である筈のピートのヴォーカルが弱いのが
欠点でアルバム全体が一枚のヴェールで被われたような感じがします。
曲調から云ってイエスのジョン・アンダーソンが唄えばぴったりハマりそうなんだけど・・
ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロックの隠れた名盤と呼べる作品。