ドリヴン
監督 レニー・ハーリン
出演 シルベスター・スタローン/バート・レイノルズ/キップ・パルデュー
ティル・シュワイガー/ジーナ・ガーション/エステラ・ウォーレン




パンフを見る。誰の目にも明らかにスタローンだ。どこを見てるのかさっぱり分からない眠たげな瞳。わたしはスタローン・アレルギーなので(蕎麦もダメ)彼を見ると悪寒が時速400kmで脊椎を駆け抜ける相当に苦手なタイプの俳優なのだが、この映画も中身はスタローン一色かと思ったら、案外他の俳優たちにドラマを譲っていて用意しておいた酸素吸入器を使わずに済んだのだった。「ドリヴン」はF1レースよりも速く自由度の大きい”CART”と呼ばれるモーター・スポーツが描かれている。カーボンファイバー製のレースカーのボディは重量僅かに700kg(普通の車の半分程度)で、搭載エンジンは最高800馬力を叩き出し、1周3.5kmのコースをを最高400km/hで爆走する。どこかエレガントなヨーロッパのF1レースとは違い、オーバルコース(楕円形のコース)をひたすら超高速で爆走するCARTワールドシリーズは単純明快迫力満点。一歩間違えば観戦者の遙か頭上から炎と煙が立ちのぼるレース場を眺める羽目になるレーサーたち。
ジミー・ブライ(キップ・パルデュー)はルーキーながら天才的なテクニックで頭角を現し、今や昨年のチャンピオン・レーサーであるボー・ブランデンバーグ(ティル・シュワイガー)を脅かす存在となっている。ジミーを演じるのはキップ・パルデュー。身長187センチ、ハーバード大とプリンストン大を合格したにも拘わらず、好きなフットボールが出来るからとエール大学に籍を置いた秀才で、ジョージ・ルーカス監督の「スターウォーズ・エピソードU」のアナキン・スカイウォーカー役に最終まで残った(結局は新人のヘイデン・クリステンセンが演じることになった)文字通り絵に描いたような美青年。・・ジミーの登場にマスコミは大騒ぎ、こぞってチャンピオン・レーサー、ボーとのトップの行方を書き立てる。ボー・ブランデンバーグを演じるのはドイツ出身のティル・シュワイガー、見るからにゲルマンゲルマンした顔立ち、広い額、落ちくぼんだ瞳、骨太の骨格。彼は昨年大ヒットしたドイツ映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」(末期ガンを患った二人の友が死ぬ前に海を見る旅をする)で一躍脚光を浴び、見事ハリウッド大作映画(つまりこの作品)に抜擢された。物語はこの二人を中心に進み、はて?スタローンは何処に〜?と思い出した頃におもむろに登場。彼が出てきた途端、ど根性の要素が映画にプリセットされます。かつては花形レーサーだったジョー(スタローン)はレース事故をきっかけに自信を失い、現在は引退してひっそりと暮らしているが、友人であり新人ジミーが所属するチーム・オーナーでもあるカール(バート・レイノルズ)がジョーをレースの舞台へ引き戻そうとやって来る。バート・レイノルズ、70年代のミスター・セクシー・ダイナマイト!幼少の頃、とある雑誌に彼のオールヌードが見開きで掲載されていてその日気分が悪くなった思い出が・・、まっそれはいいとして、かつてのタフガイもさすがに歳を取ったが、あの髪型(シルバーになったけど)と極太のヒゲは変わっていない。
カールに説得されてチームへ復帰したジョー、ジミーたちの前でレースカーに乗り込み凄腕テクニックを見せつける(コースを爆走しながら路面に落とした4つのコインを拾う!・・映像でも再現不可能なのか何だかよく分からないうちにコイン取ってました)。ジミーはジョーのテクニックに驚嘆する一方でプレッシャーを感じていた。マスコミは負け知らずの彼を誉めそやし、強気の兄はイケイケ路線で責め立てる。そんな時、ジミーはボーの恋人ソフィア(エステラ・ウォーレン)に惹かれていく。ソフィアはレース一筋のボーと些細な口論をし別れたばかりだった。エステラ・ウォーレンはカナダ出身の新進女優。ティム・バートン監督の「猿の惑星」では表情に乏しく台詞も少なかったが、「ドリヴン」の彼女はかなり良い。演技はいまいちだけど、シンクロナイズド・スイミングでカナダを代表する選手だっただけにプロポーションは抜群だし、目許の色っぽさがたまりません・・あっ。さて、この映画のもう一つの売りは、まるで観客自身がレース・カーに乗りサーキットを爆走しているかのように見えるリアルな映像。これは今までのレースを扱った映画にはなかった迫力で、特にマシンがクラッシュするシーンはCGを使い、飛び散る何百もの破片や宙を舞うタイヤなど恐ろしく細かい部分まで再現されていた。実際はこんなに事故ばかり起こさないだろうと思ってたのだが、今日のニュースでCARTのレーサーが両足切断の大事故と書かれていてちょっと吃驚。
世界各国を転戦するCARTチャンピオンシップ・シリーズ。日本の開催地は茂木(もてぎ)。外国映画に出てくる日本人俳優というのは日本人から見ると外国人のように見えるのだが(ややこしい)、ひとつ気がついたのは一般の日本人(例えば茂木の来場者)も外国映画に映し出されると「あれ?俺たちこんな顔してたっけ?」と思いたくなるような違和感がある。これは不思議だなー。
あっそうだ、ジミーとボーはどうなったかというと、かなりややこしいことになっていて、レースよりソフィアのことで頭が一杯なんですわ(関西弁)。ソフィアも別れたボーに未練たっぷりで・・、嫉妬にかられたジミー、いきなりパーティ会場を飛び出し展示してあったレースカーで公道をぶっ飛ばす(おいおい)、それを他のレースカーで追いかけるジョー(あんたも!)にいさめられたり・・。この辺で一緒に見に行ったオフ会のメンバーが「すごい脚本」と呟いたのを覚えている。
今や一触即発のジミーとボー。ますます漫画チックになっていくシナリオ。笑ってはいけないシーンで笑いを取るスタローンの才能爆発映画「ドリヴン」、この続きは劇場でどうぞ(^_^)