ASIA 『ALPHA』 1983



世紀のスーパー・グループとして
売り出されたエイジアのセカンド・アルバム。
・・が今聴いてみるとどこか恥しい一枚である。
エイジアはパンク・ムーヴメントの嵐によって行き場を失い、
方向性が定まらず次々と解散または分裂していったプログレッシヴ・ロック・バンド
の中でも代表格と云っていい、
イエス、キング・クリムゾン、エマーソン、レイク&パーマーのメンバーが集まり結成された
バンドである。ギターのスティーヴ・ハウはイエスの看板ギタリストで71年に彼がイエスに
加入するとあらゆるジャンルを吸収した個性的なプレイはバンドの音楽性を大きく
レベルアップさせ「こわれもの」や「危機」などのアルバムでイエスはイギリスの
トップ・バンドへと急成長する。ベースのジョン・ウェットンは72年にキング・クリムゾンに
加入。ドラムのビル・ブラフォードと怒濤のインプロビゼーションを繰り広げ
圧倒的な存在感をクリムゾンへもたらした。ウェットンはまた作曲能力に
優れクリムゾンに叙情性豊かな曲を提供した。
ドラムのカール・パーマーはキング・クリムゾンでベース及びヴォーカルを
担当していたグレッグ・レイクとトリオ編成のナイスというバンドで
当時としては随一のテクニックを売りにしていたキーボーディストの
キース・エマーソンが新バンド結成のためにオーディションで採用したドラマーだった。
バンド名を3人の名前にした、エマーソン,レイク&パーマーは
結成当初からスーパー・グループと評され
ど派手なライブ・パフォーマンスと高度なテクニックで聴衆を圧倒した。
そしてエイジアのキーボディスト、ジェフ・ダウンズはテクノ・サウンドの
元祖とも云えるトレヴァー・ホーンとのユニット、バグルズで当時開発されたばかりの
フェアライトやボゴーダーを使用したシングル「ラジオスターの悲劇」の
大ヒットを飛ばした後、イエスに加入しアルバム「ドラマ」を発表していた。

1980年、レッド・ツェッペリンが解散してしまうと、ぽっかりと空いた
大きな穴を埋めることのできる程インパクトを持ったバンドの登場を
潜在的に望む空気が流れていて、音楽雑誌のニュース欄には
レッド・ツェッペリンにコージー・パウエルが加入して再結成するとか
ジミー・ペイジがイエスに加入(XYZというバンド名でリハーサルしていたが
結局ポシャっている)するだとか毎月この手のニュースが載っていた。
そんな折りもおり、突然発表されたエイジア結成のニュースは雑誌でも大きく
取り上げられ洋楽ファンの間に衝撃波として伝わっていったのだった。

デビューアルバム「詠時感〜時へのロマン〜」(^_^;) は全米LPチャートで
10週連続1位となり、ビルボード誌の82年度年間アルバム・チャートでも
1位にランクされるスーパー・ヒットとなった。
アルバム発売前からコンサートのチケットは売り切れ続出でいかに当時
エイジアに対する期待感が大きかったかを物語っている。
期待されたエイジアのサウンドは多くのプログレ・ファンに取っては拍子抜けと
なったのではないか。どの曲も短くメロディアスで覚えやすいのは良いが
プログレッシヴ・ロックにありがちな長尺のソロや複雑なリズムは取り払われている。
まるで技の職人たちが意識して工場で生産される甘いお菓子を真似て
造ったような妙な安定感が漂っていてわたしは感動することが出来なかった。

このセカンド・アルバム「アルファ」はファースト・アルバムから17ヶ月後に
発売され、またもや大ヒット作となった。が、聴いた瞬間から
それまでエイジアに持っていた淡い期待感が一気に冷めてしまったのも事実。

グループ内部での主導権争いが表面化してきたのもこの頃だった。
エイジアはメンバーの入れ替わりをめまぐるしく続け、現在はキーボードの
ジェフ・ダウンズだけがオリジナル・メンバーのようだが活動はしているのだろうか。