DON’T LOOK BACK
BOSTON(1978)
とにかくゆったりと飛行するマイペースなバンドだ。
結成から24年、その間に発売されたアルバムが4枚。まるで何年かごとに地球へと飛来する隕石のように普段は忘れられているが、アルバム発表時には大きな話題を集めビッグ・セールスを記録するのだから、このバンドの持つドラマティックで雄大なイメージは多くの人たちが心のどこかに漠然と持っている郷愁にも似た感情を刺激するのだろう(あっ、
彼らの場合、隕石ではなく幻想飛行中のボストン号なのでした)。
デビュー時から今日に至るまで、ボストンのサウンドはプログレ・ハードだとか(単にプログレッシブ・ロックとハード・ロックのイメージをミックスしただけ)ヘンなカテゴリーで括られてきたが、私は純粋に彼らは最高にノリの良いロックン・ロール・バンドだと思う。このアルバムのオープニング「DON'T LOOK BACK」の心地よさはどうだろう。こんなにクリアでハジけた演奏をレコードで再現する技術は70年代にはなかったものだ。ボストンのサウンドの特徴として、
ブラッド・デルプの伸びやかなヴォーカルに哀愁を帯びたコーラス、
二人のギタリスト(トム・シュルツとバリー・グドロー)によるメロディアスなツイン・リードとバックにさり気なく流れるクリアなアコースティック・ギターとの絡み。幻想的なオルガンの音。
そしてボストン・サウンドの要といえるのは、マサチューセッツ工科大学を卒業し、ポラロイド社の研究スタッフだったという(当時はバンドの宣伝文句みたいなものでした)
ガチガチの完ぺき主義者でバンドのリーダーでもある、トム・シュルツが開発した小音量時でも深いディストーション・サウンドを得られるシステムに負うところが大きい。
自宅に作られたトム・シュルツのハイダウェイ・スタジオは当時最先端の機材が集められ、
大手のレコーディング・スタジオをも凌駕するものだったという。
ジュルツはこのスタジオに籠もりミックス・ダウンに1年2ヶ月もかけて完成したのが
本作「DON'T LOOK BACK」である。
ノリの良い洗練されたロックン・ロール、そしてバラードもグッと来るほど素晴らしい。
ちなみにこの後、サード・アルバムが発売されるまでに8年も掛かってしまうのだが
最近、80年に発売される予定で結局お蔵入りとなった
幻のサード・アルバムの音源を聴くことが出来たのだけど、どの曲も
魅力がなくパッとしない作品ばかりでボツにしてよかったなあとしみじみ思いました。