ADVENTURES IN MODERN RECORDING
    BUGGLES(1981)


    バグルズは、後にZTTレーベルを設立しアート・オブ・ノイズやフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのプロデュースを手がけて大成功したトレバー・ホーンと、ジェフ・ダウンズ(トレバー・ホーンと共に、1979年、イエスを脱退したジョン・アンダーソンとリック・ウェイクマンの後任として加入。二人のオーストラリア人の若者が開発した元祖デジタル・サンプリング・マシン、フェアライトを駆使し80年代サウンドの先がけとなるようなサウンドを展開)が79年に結成したユニットです。バグルズのデビュー・シングル「ラジオ・スターの悲劇」はイギリスで大ヒットし(音の悪いラジオから聞こえて来るようなトレバーのヴォーカルと思いきりポップな曲調が印象的だった)、巷ではテクノポップと呼ばれる新しいジャンルが出現、一気に染まり始めました(新しもの好きのポール・マッカートニーが1980年に発表したソロ・アルバム「マッカートニー2」もテクノ一色でしたね)。さて、イエス・ファンにとっては腰が抜けあごがハズレるほどのニュースだった、バグルズのイエスへの参加(実はバグルズの二人もイエスの大ファンで所属事務所が同じであったことから、「ちょっと手伝ってくれない?」みたいな軽い雰囲気でクリス・スクワイアにイエスのレコーディングへと誘われ、二人もいったい何時になったら、ジョン・アンダーソンとリック・ウェイクマンは戻ってくるんだ?と不思議に思いつつ、やがてプレスに正式メンバーとして発表され、なんとツアーにまで出ることになった。こうして発表されたイエスのニュー・アルバム「ドラマ」は当時のファンから散々に酷評されたが、今ではイエス的な構築されたサウンドにポップな味つけが効いてこのアルバムが一番好きだというファンも多い。アルバムはともかくこの後のツアー、特にヨーロッパのツアーは酷く「ジョンを出せ!トレバーなんかいらない!」と大ブーイングの嵐が巻き起こった。1981年イエスは解散)の後、発表されたバグルズのセカンド・アルバムがこの「モダン・レコーディングの冒険」です。本作はジェフ・ダウンズが製作途中に隣のスタジオで行われていた、エイジアのファースト・アルバムに参加したため、4曲にしか参加していません。開き直ったようなポップ感覚と元々ベーシストだったトレバー・ホーンのポコポコしたウォーキング・ベースにフェアライトによるパーカッションやその他のサウンド、トレバーのネチっこいヴォーカルが耳に残ります。3曲目の「朱色の砂」はイエスが解散してなければ次のアルバムに予定されていた曲。4曲目「I AM A CAMERA」は前述のアルバム「ドラマ」の4曲目「レンズの中へ」をアレンジした曲でバグルズのバージョンの方が私は好きです。アルバム全体が甘いお菓子のようにメロディアスでポップな曲が揃っており今聴いても傑作だと思うのですが、発表当時日本では発売されず、世界的にもあまり売れずに、このアルバムを最後にトレバー・ホーンは唄うことをやめ、プロデュース業へ転身します(ZTTレーベルを設立し超売れっ子プロデューサーとなる、そしてバグルズのデビューからほぼ20年後の1998年末ZTTレーベルのイベントで、バグルズとして初めてのライブをイギリスで行い喝采を浴びました!)。97年に再発された本作にはボーナストラックとして3曲が追加されています。