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WISH YOU WERE HERE(PINK FLOYD) 1975 炎(あなたがここにいてほしい) |

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ピンク・フロイドの作品の中で一番好きなアルバム。最初聴いたときは、前作の「DARK SIDE OF THE MOON」(狂気)の印象があまりに強烈だった為にずいぶんと地味なアルバムだなあっと思った。もやもやっとした長く尾を引くリック・ライトのキーボードが遠くからフェード・インしてくる。ディブ・ギルモアのギターが悲しげなブルースを奏で、ニック・メイスンのドラムがゆったりとリズムを刻む。かつてこのバンドを率いていたシドを唄った「クレイジー・ダイアモンド」はこうして始まる。やがて8分を過ぎた頃、ロジャー・ウォーターズがひそひそと唄い出す。狂った忍び笑いと共に。「思い起こせ・・まだ若かったあの頃を・・おまえは太陽のように輝いていた・・」 「狂気」のとてつもないセールスがもたらした成功はピンク・フロイドを文字通りのモンスター・バンドへと変貌させていた(アルバム「狂気」は発売から15年もビルボードのトップ200にチャート・インし続け、現在までに3千万枚を売り上げている)。名声と金の降りそそぐバンドに、次は何を見せてくれるんだ!と世界中が注目する中で、フロイドのメンバーたちは次第に消耗していった。ファンや評論家を苛つかせながら2年半ぶりに発売された本作「炎」では、歌詞を書いたウォーターズやバンドのメンバーが感じた自分たちに対する過大な世間の期待に対して、あっさりと開き直ったような印象を受ける。オリジナル・メンバーのシド・バレットを唄ったオープニング・タイトルの「クレイジー・ダイアモンド」では、ウォーターズがスタジオでリミックスをしていると後のソファに何とシドその人が立っていて「何か僕に出来ることがあったら教えてくれ」とウォーターズに訴えたと、まるで出来すぎた話が残っている。かつてハンサムな青年だったシド・バレット、5年ぶりに会った彼はぶくぶくと太っており頭髪もすっかり薄くなっていた。ウォーターズはそんなシドを見て泣きそうになった。 アルバム全体を通してデイブ・ギルモアのギターが冴え渡っている。このアルバムを聴いて一番驚いたのはギルモアってこんなに巧いプレイヤーだったの?ってこと。シンプルながらどの部分に置いてもツボを押さえたこれ以上は考えられないほど見事な(マイナーな)フレーズが心に染みる。グッと来るってことですね。 3曲目の「葉巻はいかが」では、ヴォーカルの音域がロジャー・ウォーターズでは足りなかった為に、イギリスで(日本でも)カリスマ的な人気を誇るヴォーカリストのロイ・ハーパーが唄っている。「炎〜あなたがここにいてほしい」は聴けば聴くほど味が出てくるスルメのようなアルバムだ。 |
